俺とほむら その1
俺、うちはオビト。自分でも出オチだと思っている。
7年前にひびきの市を離れることになったが、高校生になった今、再びひびきのに戻ってくることになった。
心機一転、頑張るぞ!と思っていたのも束の間、クラス分け一覧を眺めていたら誰かと激突。それは幼馴染みの光だった。
再開して早々ぶつかるわ「オビトちゃん」と呼ばれるわでとんでもなく恥ずかしい気持ちになった俺。
翌日、光の友人とかいう水無月琴子に、出会って早々「パッとしない男」とか言われるし、もう散々だ。
心機一転どころか知り合いまみれじゃねぇかよ…というかなんで戻ってきた地で「心機一転」なんて思ったんだ?俺。
でも入学してすぐ坂城匠と穂刈純一郎っていう男友達ができたのはよかったな。これで話し相手には困らないな。あ、あと校長が「我が高校のモットーは自由」って言ってたのもポイント高い。校長こえーけど。
ひびきの高校はどうやら日曜日に部活に入部でできるらしく、俺も何かしらやってみることにした。なんとなく入部チラシを見ていると
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いやいやいやツッコミどころ多すぎんだろ!?
「オレが法だ!」ってなんだよ!?オレって誰だよ!?
いや、まずなんだこのテキトーに書き殴ったような字は!?生徒会だろ!?これでいいのか!?!?
というか生徒会って部活感覚で入れるもんなのか!?
ハアッーハアッー…。
だめだ。
すっげぇ気になる。
それに、よく考えたら選挙とかもなしに生徒会に入れるってすごくないか?もしかしたら大学入試とかで有利になるかも……?
…。
よし、決めた!
生徒会に入ろう!
高1の4月から生徒会役員だなんて、これはもう人生成功コースまっしぐらだなぁ………ぐへへ……。
なんてことはなかった。
生徒会は楽なものではなく、「なんで生徒にこんなに仕事が回ってくるんだ?」ってくらいキツい。
ストレスもモリッモリ溜まる。や、やべぇ…毎日こんなことしてたら身がもたねぇ…。
生徒会で溜まるストレスを消化するためにめちゃくちゃ寝るから、勉強する時間もない。
なんとこの悪循環がゴールデンウィークにまで響いてしまう。(GWずっと寝っぱなし)
あぁ…もうだめだ…サヨナラ、俺の完璧高校生活………。
GWの寝っぱなしを取り返そうと、課題を徹夜でやってたら、案の定寝坊。最悪だ…。
校舎前の坂を全力で駆け上る。
勉強はダメだが運動能力だけは捨てたもんじゃないな、なんて思っていると
耳を刺すような高い声。
思わず「なんだ!?」と叫んでしまう。
なんだか後ろの方で戦隊モノのBGMのようなものが聴こえる。気のせいだろうか。このヘンテコなセリフのせいだろうか。突然のことに頭が働かない。
明らかに正義のヒーローを意識した掛け声と共に、小さなオレンジがシュタ、と音を立て現れた。
唖然。
さまざまな事が脳内にドっと押し寄せてきて、俺は何も言えなかった。
キーンコーン
不幸中の幸いといったものか、予鈴の音で現実に引き戻された。急いで校舎に駆け込もうとするが、
やかましいわ!!!!!
思わず反射的にマジレスしてしまった。(初対面の女子相手に)
なんて奴………。
そういやさっき「生徒会長って言ってたなぁ」なんて頭の片隅で思いつつ、口をパクパクさせることしかできなかった。
そうして奴は俺よりも後から来たくせに颯爽と校舎に入っていくのだった。
って
あいつ生徒会長っつったか!??!!??!!!!!??!!!!
あ、あいつが…俺の上司…?
いやそれよりもなんであんな奴が生徒会長に…?
それに、俺は4月中ほとんど生徒会活動をしていたにもかかわらず、あの会長の姿は見たことがない。
だけど俺が生徒会にいる限り、奴にエンカウントする確率が高いのは確か。
そう考えるだけで目眩がした。
…赤井ほむら、か……。
もしかしたら、匠が何か知ってるかもしれない。俺は後に匠に電話することにした。